GS五島列島カヤック旅④


明けて翌朝。いよいよ漕ぎは最終日。

潮の引ききる直前を狙って久賀島南端の岬を回り込もうと、ヌカカとヤブ蚊の浜を後にする。薄曇りの空が優しく海を照らし、沖には五島と本土を結ぶフェリーが水を切って進んでゆく。

この海を漕ぎ出して、初めてのゆるい時間。いやぁ~、幸せ。静かってホント幸せ。凪いだ海LOVE❤

っと、頬を緩めていたら、やっぱり岬に近づくにつれて、海がジャバジャバと嫌な音を立て始める。そんな中、漁へと向かう漁船が岬の影から姿を現し、僕らの前を横切ってゆく。その引波と潮目が重なって、僕のカヤックはフラフラと波間を漂う木の葉状態。

それでも、前日までの激潮地帯と比べれば、波の迫力は、野生のトラと飼い猫ほど違う。





ヒャッホ~♪ って感じでザブザブと波立つ岬を回り込んだ先には、久賀島と福江島を隔てる田ノ浦瀬戸が広がる。 本来、激潮地帯となるその海峡も、潮が止まるタイミングに合わせての進入であることや、大潮を終えて中潮となった潮流が幸いしてか、穏やかな流れの中、漕がなくてもどんどん進んでゆく。











この数日間、波に苦しめられ、潮にやられ、それでもめげずにこの厳しい五島列島を漕いで渡ったそのご褒美なのか、ゆらりゆらりと潮流に流されながら、浜脇の集落で、浜脇教会に旅の無事を感謝し、寂れた商店でキンキンのアイスを頬張ったあと、無事、田ノ浦の港で五島列島の漕ぎ旅を終えた。

全ての旅を終え、抜け殻となりながら、廃校となった小学校の校庭で片付けをしている不審者丸出しの7人のおっさん達を、その隣で民宿を営む坂谷夫妻が昼食に招待してくれた。

旅先で受ける地元の人々の優しさが、心にジ~ンと染み渡る。





両腕がビキビキと攣りながらも必死で漕いだあの岬。生きた心地がしなかったあの激潮地帯。ヌカカとヤブ蚊に心が折れたあのゴロタの浜。

決して楽しいだけの旅じゃ無かったし、正直、あるポイントだけを切り取れば、完全に僕のスキルを越えた海だっただけに、無事漕ぎ終えた後の人の優しさや暖かさは、本当にありがたかった。 心から、感謝します。

そして、今回ご一緒していただいた方々、遅れ遅れになった事、ご容赦下さい。さらに精進していこうと思います。

探検家 角幡唯介氏
今回はスペシャルゲストとして、探検家の角幡唯介さんもこの旅に同行されていて、なかなか出来ない貴重な経験をさせていただきました。ありがとうございました。

そして、いつもながら、出来損ないの僕を引っ張ってくれる大瀬さんに感謝しながら、筆を置こうかな^^


***


今まで、いろんな所を漕いできた。たしかに、まだまだパドラーとしては駆け出しだし、未熟であることは重々承知している。それでも、奄美大島や瀬戸内、若狭湾に能登、粟島や隠岐に琵琶湖。雨の日や、雪の舞う日もあれば、暴風にパドルをもっていかれそうになったり、霧で進路を見失いそうになったこともある。灼熱の太陽を呪った日もあった。

そんな過去の経験で培ったノウハウや情報やテクニックを総動員しても、五島列島の大潮にはまるで太刀打ちできなかった。

今回は、カヤックのスペシャリストであるガイドの大瀬さんがいてくれたからこそ、時折、薄氷を踏む様な状況ではありながらも、なんとか無事に漕ぎ切ることができた。

もし、大潮の五島列島を狙っているパドラーがいるならば、どんな状況(台風並の荒れ模様)でもセルフレスキューができ、潮流を正確に読む力と、迅速な状況判断ができる事が必須だと思う。

それでも、我こそは!! と思う強靭なメンタルをお持ちの方は、完全自己責任かつ、他人に迷惑をかけることの無いように挑戦下さい。


いつの日かまた、もっとタフメンになって、格段の進歩を遂げた時、大潮の五島に再チャレンジするかもしれない・・・いゃ、しないんじゃないかな・・・(;´Д`)


それでは、またどこかの海でお会いしましょう。


チャオ!



コメント

  1. はじめまして
    五島列島シーカヤック良いですね!いつか行きたいと思っているエリアです!
    参考にさせて頂きます。

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    返信
    1. コメントありがとうございます。
      気づくのが遅れ、返信が遅くなってしましました。すみません。
      五島列島のシーカヤックは、文中にも書きましたがなかなかタフな環境です。特に大潮の島渡りはかなりヤバいです(汗)
      自然の圧倒的な力に玉砕しました。もし五島列島を漕がれるなら、細心の注意を払って、無理をせずに楽しんでくださいね~!

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