繰り返される週末。

 


「フッフッ…ハッハッ…マジか、クソしんどいなっ!」

そんな愚痴ともボヤキともつかない独り言をうわ言のようにつぶやきながら、急峻な尾根を一歩一歩と両足を引きずるように歩く。登り始めて間もなく降り出した雨は、雨足を強めながら、ずっとレインウェアを叩き続けている。ぬかるんだトレイルに体力を削られて、否応なく跳ね上がる心拍に聞こえないはずの鼓動が耳に響く。

もうかれこれ2時間はこの坂を登っているというのに、一向に先が見えてこない。たまらずに脚を止めて目線を上げると、あたりは白い幕で覆われたようなガスが立ち込め、山々の眺望はおろか、10m先のトレイルすら霞んでいるありさまだ。

『俺は一体何をしているんだろう…。』

世界中のハイカー達が、一度ならず自問したことがあるこのフレーズが頭をよぎる。

折角の休日。その気になれば快適なリビングでキンキンに冷えたグラスにワインでも注いで、気になっていた映画を観て過ごすことも出来た。はたまた最近オープンした美味いと評判の店に妻を誘って、肉厚で甘く柔らかなサーロインにフォークを突き立てることもできたはずだ。

なのにどうだ、今の俺が置かれたこの最悪な状況は?

全身濡れねずみで跳ねた泥が膝下をベットリ汚し、乳酸がたまり始めた両足は悲鳴を上げている。そして、いつたどり着くかもわからない山頂という、おおよそ山に興味の無い人にとっては全く価値もない地図上の一点を目指して息を切らしながら歩き続けている。

「まったく…何やってんだ、俺?」

そうやってブツブツと、言葉にもならない独り言を念仏のように唱えながら、足元を見つめつつしばらく歩みをすすめ、何気なくふと顔を上げた時に、一瞬ガスがスッとはけて視界が広がり、今まで全く見えなかった山の頂がガスの切れ間から顔を覗かせようものなら、その瞬間に心が震えたりするんだからから、まったくタチが悪い。


山行も終わり自宅にたどり着いてリビングのソファーに身を沈める。本来ならば平日で疲れた心身を休める休日に、あろうことか過酷な山で相当疲弊してしまったという若干の後ろめたさを覚えつつも、

『次の休みにゆっくりと休養すればいいか…』

っと、頭を切り替えて何気なくテーブルにおいた山岳雑誌を開くと、まだ見ぬ山々の頂きや、知らない稜線の美しいシルエットが浮かんでいる。


「さてと…来週はどこの山に行こうか…(ΦωΦ)」


山を初めて約半年、このサイクルから抜け出せない日々を過ごしております(笑)





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