NZL旅<DAY7>


とうとうこの旅のLAST RUNの日を迎える。

空にはちぎれ雲が朝日を浴びて浮かび、数日間の悪天候のライディングは嘘のように晴れ渡っている。


準備に半年、構想期間を含めると2年にも及ぶこのニュージーランドのバイク旅も、いよいよ今日で終わってしまうと思うと、満足感と寂寥感が入り交じる、万感の思いをこめて、走り出した。

午後にはオートバイを返却しなければならないため、あまり遠くへはいけない。なので、クライストチャーチの南東に丸く突き出たバンクス半島を、僕達の最後のルートと定めて、澄み渡る朝のクライストチャーチの街を抜ける。


バンクス半島は複雑な入江を多く持つマリモのような形の丸い半島で、半島先端に位置するアカロアという街は、ニュージーランドで唯一フランス移民が入植した町らしく、今でもフランス風の建物や、レストランが立ち並び、美しい入江とあいまって、素晴らしい景観を誇る・・・らしいが、そんな歴史的背景をしらない僕たちは、アカロアへと続く風光明媚なワインディングから外れ、峠を超えて反対の湾に向かってしまう。



そして・・・なんだかおかしな道に迷い込んだと思った矢先、いつのまにか舗装路はなくなり、所々ぬかるんだダートが現れる。戻りたくても背後よりいかつい四駆が迫り、そもそもかなりの坂道が続くために、一度停まろうものなら、確実に再スタートは不可能な状況のなか、勝手にズルズルと横滑りするリアタイヤをなんとか押さえ込んで必死に進むこととなる。



そんな状況も、ラストランに一花添えてくれたこのバンクス半島。僕達の旅の終わりを知ってか知らずか、コーナーを曲がる度に現れる胸のすくような大パノラマは、ニュージーランドツーリングの最後を飾るにふさわしい、最高の絶景ロードだった。





一週間にわたる旅を振り返りながら、バイクレンタルショップへオートバイを返却するためにR1を北上する。

長期にバックパッキングで海外を放浪する強者や、ワーホリなんかで現地に溶け込んで暮らす人にとっては、些細で取るに足らない旅かもしれないけど、仕事があり家庭もある普通の社会人の僕や、海外自体が初めての経験となるけんちゃんにとっては、大冒険と呼べる旅だったと思う。

現地コーディネーターがいるわけじゃなく、英語も話せず、ただただ雄大な自然の中を、大好きなオートバイで走りたいという強い願望だけでここまで来ちゃったけど、【死ぬまでにやるべき旅リスト】にこの旅を書き加えたあの時の僕のちょっとした出来心が、今ここに現実となって結実している事を思うと、夢を持ち続けるってことがいかに大切な事かを、身をもって知る事ができた。

そして何より、僕のような妻子持ちの身にもかかわらず、こんな旅に出かけられるのは、いつも広い心で僕の身勝手を受け止めてくれるママちゃんの理解と協力があっての事。

心からの感謝の想いを込めて、『ありがとう!!』と伝えたい♪


いろんな想いが次々とこみ上げる中、2017年4月15日 14:15。バイクレンタルショップのガレージにて、一週間を共に過ごしたBMW R1200GSのエンジンを切り、僕達の旅は終わった。




そして旅のパートナーとして、ちょいちょい文中にも登場した、けんちゃん。

今回の旅の同行者がみつからず、半ば独りで旅をする覚悟を決めていた僕に、共に旅を分かち合える仲間が参加してくれたことは本当に心強かった。(時々イラッとすることもあったけどね^^)

ありがとうな~! 



一つの旅の終わりは、次の旅の始まりにすぎない。

カヤック旅なのか、バイク旅なのかはわからない。歩き旅やくるま旅かもしれないし、独りなのか、仲間がいるのか、はたまた家族との旅なのかはわからないけど、未だ見ぬ世界への探究心が続く限り、またどこかに旅に出よう。


漂うように・・・♪


ニュージーランドツーリング END



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