NZL旅<序章1>
遡ること3年前。お世話になっているカヤックプロショップ『グランストリーム』が主催する、奄美・加計呂麻島周辺の無人島をめぐるカヤックツアーに参加した。太平洋高気圧が梅雨前線を沖縄から少しずつ押し上げ、あと数日で奄美大島も梅雨が明けるという2014年6月の終わりだった。
旅程は土曜日から翌週の土曜日までの8日間。後先考えずに勢いにまかせて、締め切りの過ぎたそのツアーに申し込んで数日、とんでもない事をしようとしているのではないかという後ろめたさに苛まれた日々を今でもはっきりと覚えている。
盆正月でもなく、GWでもなんでもないウィークデイの5日間を休むために、仕事の調整に随分と苦労した。さらに、その前後の週末を全て自分の趣味のためだけに費やす事に、家族に対する気まずさたるや・・・。
それでも、一生に一度の我儘のつもりで、後ろ髪引かれる思いを敢えてぶん投げて旅立った。
まぁ、いざ旅立ってしまえば言わずもがな、すっかりパラダイス・ハイだった訳なんだけど・・・(汗)
その旅の詳細は、また別の機会に譲るとして、とにかくその8日間で、僕の旅は覚醒した。
それまでもカヤックで2~3日の海旅や、オートバイで気ままに4~5日のブラリ旅は何度もしてきたんだけど、一週間を超える旅となると全てが別物なんだと知った。
まるで新品の洋服が身体に馴染んでいくように、旅は日を追うごとに心に馴染んでゆくものだと何かの本で読んだ。知識として知っていることと、実際に体験して知る事には大きな違いがあることは、仕事や遊びを通して経験上分かっていた。 だけど改めて、僕はこの奄美・加計呂麻の8日間を通じて、心に馴染んでいく旅の感覚を、肌で感じて心から理解したのだ。
そして・・・完全に虜になってしまった訳だ。
その旅を終えて日常に戻り数週間を過ごしたある日、僕はふと気がついた。
あれ? あれあれ?
社内では白い目で見られ、取引先には出張だと頑なに言い通し、ママちゃんには心の中でごめんなさいを100回繰り返し唱えてもなお、複雑な心境で旅立った8日間だったけど、日常に戻れば何事も無かったかのように日々が過ぎていくではないか。
ちょっとまて。
つまり・・・、土曜日から翌週の日曜日までの9日間の旅って・・・アリなんじゃね?
そう、改めて言おう。 僕は覚醒してしまったのだ!
こうして味をしめた僕は、前回の旅の2年後の2016年7月、前述のカヤックプロショップ『グランストリーム』の大瀬氏の甘い誘いに全力で飛び乗り、困った顔をしつつ家族や職場に言い訳をしながら、一生に二度目の我儘と、奄美・加計呂麻の9日間の島巡りに再びエントリーしちゃったわけだ。
さてさて、随分と前置きが長くなってしまったので、話を本題に戻そう。
こうしてBIG TRIPの快感を覚えた僕は、その間にも瀬戸内や隠岐の島なんかのカヤックトリップや、関東全県制覇や九州弾丸バイクツーリングをはさみつつ、虎視眈々と次なる旅の企画を水面下で、こっそりと温めていたわけだ。
そして、その日はある日突然やってきたのだった。
<ロングトリップに覚醒した瞬間> PHOTO BY 大瀬氏 |
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