人情。

旧Livedoorblogより転載

地方を旅していると、いろんな人から声をかけられる。あるときは田植えのおじさんだったり、信号待ちで隣に並んだおばさんだったり、時には巡回中のお巡りさんだったり・・・コレは意味が違うか。

2006年8月の終わり、僕は佐渡島を走っていた。メッシュのジャケットをすり抜けていく熱風が僕の身体から水分を奪い、とにかく喉が渇いていた。

集落のはずれの農協の横に自販機を見つけた僕は、一気にギアを落として駐車場にすべり込むと、冷えた缶コーヒーを買い、喉をならしながら飲み干してようやく息をつく。

自販機の横に座り込んで、ポケットの中で折れ曲がったハイライトを取り出して火を付ける。じっとしていても汗ばんでくる暑さからなんとか逃げようと、自販機が作り出す小さな日陰で一服していると、農協の事務所からおじさんが顔を出した。

「ツーリングかぇ?」

余程暇をもてあましていたらしく、暑い日差しにもかかわらず、佐渡がいかにいい所で、食べ物もうまく、人情味のある土地柄であるかを語った。おじさん曰く、佐渡はお客をもてなすことに関しては全国一らしく、その昔、流刑の地であったこの島の歴史と、旅人をもてなす心は無関係ではないと教えてくれた。

言われてみれば、確かに前日宿泊した民宿での夕食の折り、味もさる事ながら、白い御飯は1人につき桐のお櫃で出てくるし、みそ汁も鍋ごと膳の横にそえられていた。御飯3杯おかわりしても尚、お櫃にはあと1~2杯の量の御飯が残っていた。

さすがに食べきれないと思った僕は、残す事を詫びる。すると、宿の女将が笑みを浮かべながら、食べきれない量の食事で旅人をもてなすのが佐渡の風習だから、無理に食べなくていいと教えてくれた。

なんて素敵な島なんだろう。

そして、そのエピソードを、農協のおじさんに伝えたところ、クシャッと顔をほころばせながら、

「それが佐渡ですわい」

と、まるで自分の手柄でもあるかの様に、僕に微笑んできた。


各地を旅していると、地域によってたしかに人間性の違いはあるが、総じて島に暮らす人の優しさというのは格別だ。そして佐渡島も、間違いなく旅人にとって最高の場所ではないだろうか。

是非、機会があれば、もう一度佐渡へ渡ってみたいと思う。

いつまでも、旅人にやさしい島でありますように・・・。


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